歯列矯正に関するお話
八重歯は、歯が重なって生えている状態につけられた名前ですが、特に、犬歯が歯列からとびだして周囲の歯と重なって見えるのを「犬歯の叢生」と呼ぶのです。
第二章で更に詳しく説明しますが、あごが小さく狭いためスペースが足りなくなると、少し遅れて生えてくる犬歯がはみでてしまったのです。 子供の遊びの「椅子とり競争」と同じで、先に場所を占領したものが勝ちです。
犬歯は前から数えて三番目の歯ですが、上あごの犬歯の場合、歯の芽がもともと離れたところにあるため、実際に生えてきて歯列に参加するには、かなり遅れてしまうのです。 自分の椅子は三番目に予約されていても席に着くのが遅れれば予約とり消し、ということです。
八重歯は隣の歯と重なり合っているので、歯磨きもうまくできずムシ歯の原因にもなります。 つまり、口の中を不潔にします。
そればかりではありません。 その犬歯の生え方によっては、まさしくキバの役割を演ずることもあるのです。
ドッジ・ボールが顔に当たったら、たちまち唇を切ってしまいます。 校庭で走ってきた女生徒が八重歯の男の子にぶつかったため、犬歯の先端はその男の子の唇を突き破って、先端が女生徒のひじに突き刺さった例もありました。
もしこれがひじでなくて眼だったらと思うとゾッとします。 八重歯の子がふえれば、「校庭は危険でいっぱい」です。
不思議なことに、日本ではこれを可愛いという人が意外に多いのです。 これは驚きです。
欧米では「ドラキュラの歯」として嫌われています。 本物のドラキュラ公は、ルーマニヤでは英雄のブラド四世ですが、ストーカーの怪奇小説や「串刺し公」(外国人商人を串刺しにしたという噂)などのため本人には身に覚えのない悪名で欧米では彼のイメージは大変悪いのです。
将来、欧米諸外国でひと旗あげようと思う人や、留学生、商社・銀行マン、観光関係などの分野の人は十分気をつけて下さい。 せめて八重歯だけは何とか治療し、タバコのヤニで真っ黒になった歯は白く磨いてもらって下さい。
ハッキリ申し上げれば、相手は口にこそださないものの、あなたの知性と教養に首をかしげるのは確かです。 ある一流航空会社の入社試験で、歯並びのチェックがあると聞いています。
わずかな凸凹の人はともかく、八重歯の人がはねられたとしても、それは外国路線を持つ会社の営業上やむをえないことでしょう。 (成人矯正が常識になっているアメリカでは、スチュワーデス、スチュワードの歯科矯正治療を許可しています)差別じゃないかと腹を立てる前に考えて下さい。
歯並びのよしあしは、親や自分自身の努力でたとえば、学校の健康診断で近視の児童がみつかれば、学校はメガネをすすめます。 視力矯正をしないと成績にも影響し、また子供にとっても危険だからです。
眼の方はメガネで矯正はできても、視力そのものを治すことできません。 メガネかコンタクト.レンズがずっと必要になります。
そこが歯並びの矯正治療とは違う点です。 歯並びは、治ってしまえば矯正装置はいらないのです。
また装置のなかには、ほとんど透明で使っていることが分からないものもあるのです。 歯が汚れて歯並びが悪いことは、社交上相手に対して失礼なことです。
もうそういう時代なのです。 「ポロは着ても心は錦」という歌詞を聞いたことがありますが、こんなことが現在の世界で通じるとはとても思えません。
日本人は「美」には敏感だが「醜」には鈍感だ、という意見がありますが、その通りかも知れません。 外国のマンガにでてくる日本人の顔といえば、決まって「メガネ」と「出歯」ではないでしょうか。
前歯がでているというより、その土台になる顔の中央部分が引っ込んでいるとの指摘もあります。 特に欧米白人の眼には、黄色人種の顔は中央部がへこんだお皿のような顔に見えるようです。
同じ「出歯」のなかには、本来の「上顎前突」があります。 実はこれにも二種類あって、純粋に上あごがでているのと、見かけの上顎前突、つまり下あごがうしろに引っ込んで「あごなし」といった感じの「下顎遠心噛合」があります。
実は、このタイプは欧米の白人種に多く見られる。 ところで、サザエさんの著者、Hさんが亡くなられ、国民栄誉賞が贈られたのはご存知と思います。
私も愛読者の一人でした。 サザエさんの磯野家には、いわゆる「出歯」の人がたくさん登場します。
この家族は下あごの発達の悪い、いわゆる「あごなし」の典型です。 また、あご・顔・頭や全身の成長の研究をしているものの目からみれば、あの磯野一家の、頭と全身の特徴で、下あごが上あごに比べて小さいのです。
大胆な仮説をたてれば、黒人種は上下顎前突で上下のあごも歯も立派で大きいのですが、黄色人種は上あごが、白人種は下あごと歯が共に小さくなりつつあるのではないでしょうか。 厳密にいえば、この上顎前突・下顎遠心噛合は日本人には少ないのです。
日本人のいわゆる「出歯」の多くは、前に説明した「上下顎前突」に属するものです。 あごは発達しますが、赤ちゃんは、まだ歯が生えきっていませんから、固いものを食べさせてあごをきたえるわけにはゆきません。
骨を発達させるのは筋肉ですから、口やあごを動かすいろいろな筋肉を働かせる必要があります。 だからオッパイを一生懸命吸って、口やあごの筋肉を発達させると、これにつれて下あごも次第に大きく発達してきます。
母乳の出方の悪い場合は哨乳ピンを使いますが、ゴム乳首の穴を大きくし過ぎると赤ちゃんのあごは発達しないのです。 筋肉を使わなくても簡単にミルクがでてくれるので、吸う力が低下するようです。
多くの歯科大学病院の矯正科外来の統計によると、下顎前突で受診する患者さんの方が上顎前突より多いようです。 治療を受けにくる人が多いということは、いいかえれば、「出歯」は気にならないが「受け口」や反対噛合ではいやだというのでしょうか。
上あごの歯がでているのはふだん見なれていますが、どうやら「受け口」が人に与える印象は良くないと思うようです。 上下前歯の噛み合わせは当然「受け口」で、正しい噛み合わせに比べると、少なくとも前歯の関係は逆になるので「反対噛合」の名前があります。
上下の前歯の噛み合わせが逆になって、下の方が前にでているのを「反対噛合」あるいは「受け口」といいます。 「下顎前突」ともいいますが、この場合はどちらかというと骨格的に、下あごの骨が大きい場合に使うことばです。
上下の前歯の正常な関係は、普通上あごの前歯が下あごの前歯の四分の一から三分の一程度かぶさるのですが、「反対噛合」ではこの関係が逆になります。 下の唇が突きでた、他人が見ると「不機嫌」「徹慢」「ふてくされ」といった感じを与えるのです。
第一印象が余りよくないので、患者さんにしてみれば治療したいと思うようです。 下の前歯が前方に傾斜し過ぎて、上下の前歯の関係が逆になった場合では、治療は比較的容易な部類に入ります。
一方、下あごの骨が成長しすぎて「反対噛合」になった場合(「骨格性下顎前突」)は、治療の目標が歯だけでなくて骨の治療を含むこともあり、簡単ではありません。 異常による変化は、その頃から次第にハッキリしてくるのです。
これは、身長が一番伸びる時期とほぼ一致して下あごも伸びるからです。 下あごの成長が止まるのも、身長の伸びが停止する時に一致します。
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犬歯は前から数えて三番目の歯ですが、上あごの犬歯の場合、歯の芽がもともと離れたところにあるため、実際に生えてきて歯列に参加するには、かなり遅れてしまうのです。 自分の椅子は三番目に予約されていても席に着くのが遅れれば予約とり消し、ということです。
八重歯は隣の歯と重なり合っているので、歯磨きもうまくできずムシ歯の原因にもなります。 つまり、口の中を不潔にします。
そればかりではありません。 その犬歯の生え方によっては、まさしくキバの役割を演ずることもあるのです。
ドッジ・ボールが顔に当たったら、たちまち唇を切ってしまいます。 校庭で走ってきた女生徒が八重歯の男の子にぶつかったため、犬歯の先端はその男の子の唇を突き破って、先端が女生徒のひじに突き刺さった例もありました。
もしこれがひじでなくて眼だったらと思うとゾッとします。 八重歯の子がふえれば、「校庭は危険でいっぱい」です。
不思議なことに、日本ではこれを可愛いという人が意外に多いのです。 これは驚きです。
欧米では「ドラキュラの歯」として嫌われています。 本物のドラキュラ公は、ルーマニヤでは英雄のブラド四世ですが、ストーカーの怪奇小説や「串刺し公」(外国人商人を串刺しにしたという噂)などのため本人には身に覚えのない悪名で欧米では彼のイメージは大変悪いのです。
将来、欧米諸外国でひと旗あげようと思う人や、留学生、商社・銀行マン、観光関係などの分野の人は十分気をつけて下さい。 せめて八重歯だけは何とか治療し、タバコのヤニで真っ黒になった歯は白く磨いてもらって下さい。
ハッキリ申し上げれば、相手は口にこそださないものの、あなたの知性と教養に首をかしげるのは確かです。 ある一流航空会社の入社試験で、歯並びのチェックがあると聞いています。
わずかな凸凹の人はともかく、八重歯の人がはねられたとしても、それは外国路線を持つ会社の営業上やむをえないことでしょう。 (成人矯正が常識になっているアメリカでは、スチュワーデス、スチュワードの歯科矯正治療を許可しています)差別じゃないかと腹を立てる前に考えて下さい。
歯並びのよしあしは、親や自分自身の努力でたとえば、学校の健康診断で近視の児童がみつかれば、学校はメガネをすすめます。 視力矯正をしないと成績にも影響し、また子供にとっても危険だからです。
眼の方はメガネで矯正はできても、視力そのものを治すことできません。 メガネかコンタクト.レンズがずっと必要になります。
そこが歯並びの矯正治療とは違う点です。 歯並びは、治ってしまえば矯正装置はいらないのです。
また装置のなかには、ほとんど透明で使っていることが分からないものもあるのです。 歯が汚れて歯並びが悪いことは、社交上相手に対して失礼なことです。
もうそういう時代なのです。 「ポロは着ても心は錦」という歌詞を聞いたことがありますが、こんなことが現在の世界で通じるとはとても思えません。
日本人は「美」には敏感だが「醜」には鈍感だ、という意見がありますが、その通りかも知れません。 外国のマンガにでてくる日本人の顔といえば、決まって「メガネ」と「出歯」ではないでしょうか。
前歯がでているというより、その土台になる顔の中央部分が引っ込んでいるとの指摘もあります。 特に欧米白人の眼には、黄色人種の顔は中央部がへこんだお皿のような顔に見えるようです。
同じ「出歯」のなかには、本来の「上顎前突」があります。 実はこれにも二種類あって、純粋に上あごがでているのと、見かけの上顎前突、つまり下あごがうしろに引っ込んで「あごなし」といった感じの「下顎遠心噛合」があります。
実は、このタイプは欧米の白人種に多く見られる。 ところで、サザエさんの著者、Hさんが亡くなられ、国民栄誉賞が贈られたのはご存知と思います。
私も愛読者の一人でした。 サザエさんの磯野家には、いわゆる「出歯」の人がたくさん登場します。
この家族は下あごの発達の悪い、いわゆる「あごなし」の典型です。 また、あご・顔・頭や全身の成長の研究をしているものの目からみれば、あの磯野一家の、頭と全身の特徴で、下あごが上あごに比べて小さいのです。
大胆な仮説をたてれば、黒人種は上下顎前突で上下のあごも歯も立派で大きいのですが、黄色人種は上あごが、白人種は下あごと歯が共に小さくなりつつあるのではないでしょうか。 厳密にいえば、この上顎前突・下顎遠心噛合は日本人には少ないのです。
日本人のいわゆる「出歯」の多くは、前に説明した「上下顎前突」に属するものです。 あごは発達しますが、赤ちゃんは、まだ歯が生えきっていませんから、固いものを食べさせてあごをきたえるわけにはゆきません。
骨を発達させるのは筋肉ですから、口やあごを動かすいろいろな筋肉を働かせる必要があります。 だからオッパイを一生懸命吸って、口やあごの筋肉を発達させると、これにつれて下あごも次第に大きく発達してきます。
母乳の出方の悪い場合は哨乳ピンを使いますが、ゴム乳首の穴を大きくし過ぎると赤ちゃんのあごは発達しないのです。 筋肉を使わなくても簡単にミルクがでてくれるので、吸う力が低下するようです。
多くの歯科大学病院の矯正科外来の統計によると、下顎前突で受診する患者さんの方が上顎前突より多いようです。 治療を受けにくる人が多いということは、いいかえれば、「出歯」は気にならないが「受け口」や反対噛合ではいやだというのでしょうか。
上あごの歯がでているのはふだん見なれていますが、どうやら「受け口」が人に与える印象は良くないと思うようです。 上下前歯の噛み合わせは当然「受け口」で、正しい噛み合わせに比べると、少なくとも前歯の関係は逆になるので「反対噛合」の名前があります。
上下の前歯の噛み合わせが逆になって、下の方が前にでているのを「反対噛合」あるいは「受け口」といいます。 「下顎前突」ともいいますが、この場合はどちらかというと骨格的に、下あごの骨が大きい場合に使うことばです。
上下の前歯の正常な関係は、普通上あごの前歯が下あごの前歯の四分の一から三分の一程度かぶさるのですが、「反対噛合」ではこの関係が逆になります。 下の唇が突きでた、他人が見ると「不機嫌」「徹慢」「ふてくされ」といった感じを与えるのです。
第一印象が余りよくないので、患者さんにしてみれば治療したいと思うようです。 下の前歯が前方に傾斜し過ぎて、上下の前歯の関係が逆になった場合では、治療は比較的容易な部類に入ります。
一方、下あごの骨が成長しすぎて「反対噛合」になった場合(「骨格性下顎前突」)は、治療の目標が歯だけでなくて骨の治療を含むこともあり、簡単ではありません。 異常による変化は、その頃から次第にハッキリしてくるのです。
これは、身長が一番伸びる時期とほぼ一致して下あごも伸びるからです。 下あごの成長が止まるのも、身長の伸びが停止する時に一致します。
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